こんにちは!うらかわです。
ワインエキスパートの資格を取って、かれこれ1年半ほど経ちました。
当時はワインをただ飲んで楽しむだけで、イタリアの20州をなんとか覚えた程度の知識しかありませんでした。
その頃、ワインバーのマスターから資格受けてみないかと打診され、「せっかくだから・・・」ということでおよそ1年間勉強し、無事1発合格できました!(始めの半年ぐらいは結構サボっていましたが笑)
これからワインエキスパート (またはソムリエ)を目指す方が、何をどのように勉強していったらよいかを、筆者目線でご紹介したいと思います。
対象読者の想定
- これからJ.S.A.ワインエキスパート(ソムリエ)を目指して勉強し始めている・しようとしていて、勉強方法を知りたい・参考にしたい方
- J.S.A. ワインエキスパート (ソムリエ)の資格に興味のある方
- 特に独学したい方
J.S.A. ワインエキスパート(ソムリエ)資格とは
J.S.A. ワインエキスパート (ソムリエ)資格とは、日本ソムリエ協会(Japan Sommelier Association)が認定している民間資格です。年に1回のみ行われます。
ワインを取り扱うお仕事をされている方から趣味で勉強している方まで受験を志す人は幅広く、受験自体の敷居は低いです。しかし、合格率はおよそ3〜4割と難易度的には難しいです。
昨年のワインエキスパートの合格率は32.9%、ソムリエは30.1%でした。
過去5年間では、ワインエキスパート の合格率は38.9%、ソムリエは31.4%と決して易しい試験ではありません。
具体的な試験の中身は
- 1次試験(CBT方式):120問(70分間)、ランダムに問題が選ばれます
- 2次試験:テイスティング(ソムリエは論述あり)
- ワインエキスパート は50分間
- ソムリエ は40分間のテイスティング+20分間の論述
- 3次試験:サービス実技試験(ソムリエのみ)
で、私はエキスパート試験だったので、1次・2次試験のみで、全て選択肢式(マークシート式)で論述はありません。CBT方式とはコンピュータ上で解答を選ぶ形式で、マークシート方式と同じようなイメージです。大体、3-4択の中から正解の1つを選ぶ形式です。
マークシート形式とはいえ、問題のレパートリーはとても膨大。
ワインの基礎知識から世界各国(フランスやイタリアのような旧世界、アメリカやオーストラリアのような新世界、日本)のワインに関する歴史や産地について問われます。結構細かいところまで問われますので、相当な暗記量が必要となります。世界史よりはましでしょうがそれでも多い笑
1次試験はすべて申し込み時に送付される分厚い教本の中から出題されます!
私が受けた2021年度の教本はなんと831ページもありました。
ぶっといよね・・・
とても読む気にはなれませんでした。正直試験勉強中はほぼ読んでいません!
一般的に、試験を受ける人は「アカデミー・デュ・ヴァン」のようなワインスクールに通われる方が多いと聞きます。スクールで配布されるテキストだけでも十分でしょう。
私の場合、1次試験は完全に独学でしたので、基本は本で勉強していました。独学なので勉強仲間はいなかったのでモチベーション維持やスケジュール管理がやはり大変でした。自分が合格まで何が足りないのか、何をするべきなのかを知ることが難しいのもあって不安でしたね。
そのためにも、部分的にYouTube動画やワインスクールを利用してもよいでしょう。詳しくは後ほどご紹介します。
必要なこと
まずは、20歳以上であること。当たり前ですよね笑
試験を受ける以上いないと思いますが、ワインが好きであること!これは必須条件ですよね。
お酒を飲むとはいえ、お酒が弱くても受験する方は意外といらっしゃいました。特に2次試験ではテイスティングで実際にお酒を飲むことになるので、飲むお酒の量は調整できるようにしておきましょう。出された量を全部飲んで正常に考えられなくなったら意味がないですから。
ジンやウォッカ、テキーラなど強いお酒も出題されるので、ハードリカー系もある程度慣れておく必要があります。(ワイン以外は、単にお酒の種類を当てるだけなので適当にマークできてしまうため、諦めるという手もなくはないです。)
ソムリエ目指す人は、受験資格を確認しておきましょう。お酒や飲食店に携わっていない人は基本的にソムリエ は受験できません。
次に、お金にある程度余裕あること。
めちゃくちゃお金が出ていきます!!💸
なぜかというと、試験代はもちろん、テキスト(本)代だったりワインスクール代だったりとにかくお金がかかります。
さらに2次試験対策としてワインボトル買ったり、バーでブラインドテイスティングしたりと、
お金は独学だとしても、5-6万以上はかかると覚悟しておいた方がよいでしょう
そもそも受験料だけでも2-3万かかっちゃいます😇
さて、ここまでの覚悟ができたら早速出願しましょう。
2023年の出願期間は、3/1〜7/14 17:59まで。ギリギリ出願してもよいですが、出願してから公認の教本が届きますので、早めの方がおすすめ。細かい数値を参照することがあるため、絶対早めの方がおすすめです。出願したら後にはもう引けないので、モチベーションが爆上がりするからです笑
あとは、お近くのワインショップ やワインバーを調べておくこと。できれば、ソムリエのいるお店やブラインドテイスティングしてくれるバーとかあればなおよしです。
通常のバーも2次試験対策として通う場合がありますので、マスターと仲良くなっておくとよいでしょう。私の場合は、ハードリカー対策として色々と飲ませてもらいました。
それでは、具体的な対策法をご紹介します。
1次試験対策として私がしたこと
まず先に大事なことをお伝えしておきましょう。
決して完璧を目指さないこと!
これめちゃくちゃ大事です。すべて覚えられていないからと言って、立ち止まらないこと。繰り返し繰り返し周回して知識を定着させていきましょう。教本の隅っこに書かれている内容も出題されますが、私の場合はその部分は覚えられないと割り切って勉強していません。
そして、テキストは基本1つに絞ること。テキストには地図やポイントを絞って書かれている部分があることが望ましいです。単なる文字の羅列だけで終わっていないものが理想です。
以下は、2021年にワインエキスパート 受けたときに使った1次試験対策用のテキストです。
2019年用なので、いくつか教本と照らし合わせながらの情報のアップデートが必須でしたが、要所要所を押さえる上では非常に優れたテキストでした。ポイントがわかりやすいので、このテキストだけでも十分対応できます。
とはいえ、情報も古くなっているのでやはり2023年版に対応したテキストを買った方がよいでしょう。近々購入して届く予定ですが、以下のワインスクール講師である杉山明日香氏のテキストがよいかと。(まだ読んだことがないので、届き次第レビューしたいと思います。)
合わせて、問題集も必ず購入してください!テキストを読んだだけでは問題が解けるとは限りません。必ずアウトプットを意識するようにしてください。
例えば、私が使っていたシリーズでは以下が大変おすすめです。その年度の問題の傾向や難易度のバランスがちょうどよかったです。大体5周ぐらいはしましたかね。もちろん、本ではなくWeb上でも構いません。Amazon Kindleでも出ていたりしますね。よい時代になったものです笑
Web上では、優秀な対策サイトがあって、有名どころでは「ワイン受験.com」「World Wine Entertainment」がおすすめです。「とみわいん.com」もおすすめです。
YouTube動画では、「Sommelier For Free」をテキストと共に視聴して、テキストに書き込みながら勉強していました。
勉強の仕方についてですが、まず何よりも
出題範囲、出題傾向を知ること
スケジュールを引くこと(どの章を何週間で終わらせるか)
をやってください。いきなりテキストを順にやっていこう、でもよいのですが、敵を知らなければ対策も立てられません。
まずは、どのような国から出題されるのか、どのような問題が出題されるのかを触りでもいいので俯瞰してください。
そこから、どの章(国)にどの程度の時間をかけるのかを、試験予定日から逆算してスケジュールを立ててください。ここで大事なことは、一度勉強した事項については、次の章(国)に移ったとしても必ず復習と問題演習を心がけてください。必ず忘れてしまうので!!
何度でも言います!
大事なことは、テキストを読んで満足することではなくて、繰り返し復習して定着させること・問題を何回も解いて試験形式を知る・慣れることです!!!
よくありがちなのが、テキストにマーカー引いて補足を書き込むのは大いに結構・推奨なのですが、単に1周して終わりなのが最悪です。実際に覚えているか、アウトプットできるかどうかを確認するためにも、必ず問題集を一緒に解くこと、1週間で学んだことは翌週も、翌々週も、さらにその先も・・・繰り返し見返してください。問題集は最初は2-3回解くだけで大丈夫ですが、残り試験日まで3ヶ月を切った後は、鬼のように繰り返し解いてください。
基本は、テキストを順に読みながら、ある程度まとまった知識がインプットできたら問題集も一緒に解くということをしていました。テキストは2年前のものだったので、YouTubeのSommelier For Freeを見ながら情報の細かい修正と、テキストに書かれていない情報を書き足して、テキストを赤ボールペンで真っ赤にしていました笑。テキストを見ずに声に出しながら覚えたものです。
あとは、完璧を目指さないことが大事です。すべて覚えようとすると時間もかかって大変なのである程度重要ポイントが抑えられたらさっさと次に行った方がよいです。繰り返すことで徐々に確実に覚えていけますから。次の周回で+α覚えていけばOKです。
私の場合は、ワイン概論・酒類飲料概論→フランス ・イタリア・スペイン・ポルトガル・ドイツを読み進めながら、新世界でページ数の少ない国(オーストリアとかジョージアなど)を並行して読み進める→日本や新世界(アメリカ、オーストラリア、チリ・アルゼンチンなど)→日本酒やチーズ・その他、という順番にしていました。
この順番にとらわれすぎずに、あなたの好きな順番、国から取り組んでよいでしょう。ただし、フランスとイタリアはそれなりにボリュームが多いため、恒常的に読んでおいた方がよいと思います。順番に読み進めるものの、それなりにそれぞれの章で勉強に時間がかかるため、忘れやすいです。そのため、順番に読み進めるとはいっても、前に戻って覚え直しということは何回もやっていました。
完璧に覚える必要はないと言いましたが、これは産地を覚える際にも有効で、例えば、シャンパーニュのグラン・クリュのコミューン名を正確に覚える必要はありません。
- モンタニュー・ド・ランス:Ambonnay, Mailly, Verzenay, Verzy, …(全部で9つ)
- ヴァレ・ド・ラ・マルヌ:Ay, Tours-sur-Marne
- コート・デ・ブラン:Avize, Chouilly, Cramant, Le Mesnil-sur-Oger, …(全部で6つ)
これらをすべて覚えようとするのはちゃんとしたソムリエさんだけで十分です。高得点を狙いたいのでなければ、次のように覚えれば十分です。
- ランスは、Ambonnay(アンボネー)
- マルヌは、Ay(アイ)とMarne(マルヌ)だけだな
- ブランは、Avize(アヴィーズ)、あとは頭文字がC、Oだらけ。頭文字がC、Oじゃないものはランス地区に属するな
このように法則性があれば、語呂とか覚えやすい形で簡略化すればシンプルで思い出しやすくなります。工夫して覚えていきましょう。覚えるのがしんどい場合は、問題集を解きながら問題と解答をセットで覚えていく、という方法もおすすめです。あっ、これまた見た問題だな、と思い出すでもなく反射的に答えられるようになるはずです。解答を間違えたという経験がよい刺激となって覚えやすくなるのです。
テキストや問題集では章ごとにテーマが分かれていてわかりやすいですが、試験ではランダムに出題されるため、テーマや国ごとに順番には出されずに混乱しやすく思い出しにくくなります。試験直前は、必ず模擬試験のようなものを受けることをおすすめします!自分の立ち位置が分かりますし、あと何点ぐらい足りないのか、苦手分野を知ることができ、最後の追い込みができます!
おすすめは、「ヴィノテラス」の全国オープン総合模擬試験です。私の場合、ヴィノテラスを次のように使っていました。
- 1次試験対策として、総合模擬試験を受験(8/4)
- 2次試験対策として、ブラインドテイスティング(テイスティングコメント)講座をいくつか受講しました
ちなみに、模擬試験を受けたときはわずかに合格点数に足りませんでした。この時期に模試で不合格だったとしても、1-2週間も頑張れば十分合格ラインに持っていけますので安心して大丈夫です。実際、私も1次試験は1度だけしかチャンスなかったですが、1発合格でした。不安な場合は、1次試験は2回チャンスとっておいた方がよいかもしれませんね。
2次試験対策として私がしたこと
1次試験と並行して、ひたすら(?)ワインショップ でワインを買ってテイスティングコメントしたり、ワインバーでブラインドテイスティングしてもらったりしていました。
最初にすべきことは、テイスティングのやり方や作法的なものを統一的に学習するべきでしょう。試験のための対策のためにワインを限定して勉強するのは賛否両論あると思いますが、あくまでも試験合格を目指したい方向けの勉強法となります。
前提として、試験には、
- 高いワイン・安すぎるワインは出題されません!
- オーソドックス(スタンダード)なワインしか出題されません!基本は単一ブドウ品種で複数のブドウが混醸したワインはほとんど出題されません!
1の理由としては、そもそも高いワインを出していたら大赤字ですよね。安いワインは香りが出にくく、品種の特定が難しいからです。
2の理由としては、この試験の目的にそぐわないからです。当てるのが難しいワインや土着品種ばかり分かっていたとしても、通常多く飲まれる国や品種の一般的なワインが分かっていないとワインを知っていることにはなりませんよね(あくまで試験対策としての観点で言っています)。ボルドーみたいなブレンドされたワイン(メルロー 40%、カベルネ・ソーヴィニョン60%とか)や自然派ワイン、土着品種(その国独自の固有品種)はまず出題されることは絶対ないと言っても過言ではありません!!ズバッと当てるのがそもそもソムリエでも難しいからと、ソムリエによってコメントにばらつきが発生する可能性が高いからです。
よって、勉強用に買うとしたら、3000-4000円代のワインで十分です。それ以外のワインでテイスティングコメントの練習をしてはいけません!(単純に飲むだけならOK)変なくせがついたり、偏った特徴のあるワインにしか対応できなくなったりするからです。
近年出題された国と品種はこちらが参考になります。
これらのことを踏まえて、勉強法のおすすめですが、私がやっていた方法としては4つあります。
- YouTube動画を見る(「Sommerlier For Free」「ソムリエ佐々木」がおすすめ)
- ワインスクールを受講する(ヴィノテラスの2次試験対策を受講していました)
- ワインショップで3000円代ぐらいの単一品種のワインを買って、国と品種の傾向を鼻と舌で感じ取り、テイスティングコメントシートを使ってマークしていく
- ワインバーでブラインドしてもらう(マスターによって偏りが当然出てくるため、頼りすぎるのはNG)
YouTube動画である程度テイスティングの仕方、コメントの仕方をつかめたら、実際にワインを買ったり講座を受けたり(zoomで受けていました)して正しいコメントができるまで繰り返す、ということをしていました。特に独学では正しいコメントができているかどうかの判断ができないので、スタンダードな品種はこう、この国の特徴はこう、ということをインプットしておけば軸がぶれすぎずにできるようになります。おすすめは、第3者のソムリエさんにチェックしてもらう、テイスティングコメントシート付きのワインを一緒に買う、オンライン講座を受けて自分のテイスティングコメントが合っているか、方向性が合っているかどうかをチェックする・してもらうことです。
必ずテイスティングの方向性が合っているかどうかだけは客観的にチェックしてください。
品種がすべて外れたとしても、コメントの方向性が概ね合っていれば十分合格できます。
ワイン以外のテイスティングについては、一般的なバーがおすすめです。できれば高すぎない程度のオーセンティックバーがよいでしょう。すべて揃っているわけではありませんが、ジン・ウォッカ・ラム・テキーラはもちろんありますし、リキュール・ハードリカー関連はあらかた置いてあるはずです。これらをすべてストレートで飲むのは流石にしんどいので、始めはストレートで少し飲んでおいて、徐々に加水して飲むとよいでしょう。代表的なものをまずは押さえて、色・香りをしっかり記憶するようにして脳にすり込ませましょう。
できれば色が似ているもの同士や間違えやすいもの同士をペアにし、比較して飲めるとベストです!例えば、「テキーラ」と「泡盛」のペアとか、「ジン」と「ウォッカ」とかですね。
これらは私が受けたときに出された選択肢で、答えは「テキーラ」でした。すべて色が無色なので、香りと口に含んだときの印象や度数で判断するしかありません。香りから「テキーラ」か「泡盛」ということは絞り込めました。度数も30-40度程度ですがここからは判断できません。
ここで私が失敗していたことは、「テキーラ」のアネホを飲んでその甘くて複雑な香りを記憶していたのですが、実際にこのとき出されたのはおそらくブランコ。香りに甘いプリンみたいなものはなかったのです。ショットでよくあるタイプのテキーラでした。経験した香りが違うことから「泡盛」と答えて間違えてしまいました。
なので、「テキーラ」と言っても熟成度合いに違いが合って、香りや印象がまるで変わることがありますので、1回飲んだ印象がすべてではないことに注意してください!
すべての種類を飲みたい場合は、こちらのヴィノテラスが提供しているセットがおすすめです。2023年度の発売はまだのため、ご注意ください(発売しなかったらごめんなさい)。
リキュール ・ハードリカー系対策は試験直前でも十分でしょう。あえて諦めるのも手です(結構大変なので)。
さいごに
いかがだったでしょうか。
ワインエキスパート・ソムリエ試験は、何よりスタートが肝心です!
勉強方法と計画がすべてと言っても過言ではありません。無理くり色々覚えようとするのではなく、段階的に少しずつ覚えていって、繰り返し復習することが大事でした。
ワインエキスパート・ソムリエを目指される方へ、少しでもこのページが役に立てば幸いです。
資格取得はスタート地点です。資格を取れば、ワインの色々な世界が見えてきます。何よりも、ワインを飲むことがより一層楽しくなります♪
資格試験はしんどいこともありますが、ここで勉強したこと・努力したことは将来必ず役に立つ時がくるはずです。是非、頑張ってください!
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